レンズ型の橋技術的なことは門外漢だが、調べた限りでまとめてみようと思う。 トラス橋?まず、レンズトラス橋(レンティキュラートラス橋)は、トラスと言っているが、力学的には普通のトラス橋と異なるふるまいをするらしい。普通のトラスが三角形の分力を利用して荷重を分散させることによって支えるのに対して、レンズトラス橋では上弦の鋼材には圧縮力が、下弦の鋼材には引っ張り力が働き、アーチ(上弦)と吊り橋(下弦)を組み合わせた構造になっている。
余談になるが、橋の本質とは
レンズ型の橋アーチ(上弦)と吊り橋(下弦)を組み合わせるというレンズトラス橋(レンティキュラートラス橋)の発想を現在に甦らせた人がいる。川口衛はイナコスの橋(大分県別府市)の設計にあたり、「吊り橋式サスペンアーチ構造」のレンズ型の橋としたが、これは向山辰夫によると、上路式にすることで上弦アーチを床組として用い、レンズトラス橋のトラス構造とは別に床組を作らなければならないという不経済性を克服した構造であるという。[イナコス橋〜アーチ構造と不静定反力について〜]
同じレンズ型の橋でも、潮騒橋(静岡県大東町)は吊床版橋という、橋台や橋脚の間に張り渡したケーブルを薄いコンクリートで包み込み、人や車が通る床版を形成した橋で、吊橋の一種である。[住友建設の説明]によると、ロープを両端で持つと自重で真ん中がだらりと垂れる。このロープに更に重しを付ける(荷重が加わると)垂れは大きくなる。これをピンと張るには両側から引っ張らなければならないが、そのためには下部構造をしっかりしたものにしなければならない。むしろ垂らしたままにすれば簡便で経済的な下部構造で済むという発想である。ただし、垂らしたままだと下がったり登ったりして交通に不便なので、吊床版の上に柱を立てて、その上に水平な上床版を並べることで、全体として凸レンズ型の構造になる。
奥多摩橋(東京都奥多摩町)は中央径間はアーチだが、側径間はふつうの下路曲弦トラスをひっくり返した構造になっている。その形から魚腹橋と呼ばれる。これも吊床版橋と同じく下弦の引張力で吊り支えているものであると言える。 [レンズトラス橋(レンティキュラー・トラス橋)のページに戻る] (C) TTS 1997-2002, All rights reserved |