コネチカット州のレンズトラス橋

グレン・フォールス橋(ムースアップ)

Glen Falls Bridge, Mooseup, CT


レンズトラス橋の技術的な限界

コネチカット州の東、ロードアイランド州との州境の近くのムースアップという小さな町にあるのが、グレン・フォールス橋である。
この橋の特徴はレンズトラスを補強するために四角く枠材が取り付けられていることて、それがこの橋のポータルを印象付けている。スルートラス橋の外見上の特徴である「門構え」がないために、一瞬ポニートラスに補強材を取って付けたような感じだ。
こうしたちょっと変わった形のレンズトラス橋なのには、ちゃんと技術的な理由がある。グレン・フォールス橋は全長が124フィートしかなく、スルートラス型のレンズトラス橋としては比較的短い。同じコネチカット州のニュー・ミルフォードのボード・マン橋が188フィート、ラバーズ・リープ橋が173フィートなのと比べて、約3分の2の長さしかない。レンズトラス橋は弧を描いて橋の両端(両岸)がすぼまっているので、相似形のレンズを想定すると、長さが短いほどレンズの膨らみが小さくなり、その分だけ橋を通れる車両の高さが制限されることになる(図1の青で示した部分)。
もし元のレンズトラス橋と同じ高さを保とうとすれば、ずんぐりとしたレンズになってしまう(図2)。
この問題を解決しようとするには、横に渡してある桁材を取り払って、代わりに、グレン・フォールス橋のように枠材を組んで補強してやるという方法が考えられる。このように、グレン・フォールス橋の補強の枠材はレンズトラス橋の技術上の限界をよく物語っているのである。

グレン・フォールス橋のある通りは、現在の新しい橋が架けられるまで、コネチカット州道14号(CT-14)としてコネチカット州とロード・アンランド州とを結ぶ主要な街道の一部をなしていた。そのため1920年代に、より大型の車両も通行が可能なように現在のような形に改修されたということである。

グレン・フォールス橋はレンズトラス橋の技術的な制約や街道の歴史を物語る貴重な証人であるが、その保存状態はあまりいいとは言えない。2000年夏に取材した写真では白くペンキが塗られて輝いてる姿を見ることができる(写真)が、2002年12月のこのページの取材時では、あちらこちらに錆が浮いていてスクラップ寸前というような雰囲気であった。ここ2年の間に急速に老朽化が進んだのであろうか。
橋のたもとにあった工場も瓦礫となっていて、危険な雰囲気がしている。
橋そのものも通行が禁止されているし、橋までたどり着く工場の敷地もフェンスで囲まれて立入禁止になっている(人の出入りはあるようだったがこうした荒廃した場所に人がいるということ程危険なことはないので、見学には十分な注意が必要である)。
移設して保存する話もあるようだが、是非とも保存してもらいたいものである。



この落流がグレン・フォールス橋の名前の由来となったグレン滝であろうか。落流のたもとには、おそらくその水力を動力として立地したであろう工場があったが、今では焼け落ちて瓦礫となっている。
奥に架かっている橋が現在のCT-14の橋である。
建設年1886年
種類レンズトラス橋(レンティキュラートラス橋)・1スパン・スルートラス(変形)
全長124フィート
状態通行止め(西側から橋にたどりつく工場の敷地内も立入禁止)
その他National Register of Historic Places

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