首都高速 美女木JCT

美女木JCTは、首都高速5号線(MEX-5)・埼玉5号線(MEX-S5)と外郭環状道路(外環道)を接続するジャンクションで、放射道路と環状道路を結ぶ交通ネットワーク上枢要なポイントになる。ところがこの美女木JCTは以前から不完全な構造をしていて、現在は信号機があるジャンクションとして知られている。

首都高埼玉5号線が開通する以前の美女木JCTは、東京都心方向から伸びてきた首都高速5号線が外環道まで到達した形の、3方向連絡の構造をしていた。ところが、用地取得が難しい上に、地上及び地下1層には国道17号と国道298号との立体交差があり立体化にも制約があったために、首都高5号線東京都心方面から外環道三郷方面への連絡路がないという不完全な状態であった。
ジャンクションでは(左側通行の日本の場合)交差しあう右折路同士をどのように処理するのかが問題になるが、美女木JCTの右折路の一方だけ作ってもう一方は作らないという不完全さは、なぜ「東京都心→大泉」の右折路を「三郷→東京都心」の右折路より優先させて建設したのかという疑問を生じさせ、関越道を首都圏の「高速道路」ネットワークから孤立させないための苦肉の策という感があった。

東京圏に北側からアクセスしてくる「高速道路」のうち、常磐道は首都高6号線、東北道は首都高埼玉1号線で、それぞれ首都高速ネットワークに直結している。関越道だけが練馬ICで途切れていて、大泉JCTで外環道と接続しているのがかろうじてネットワークとの接点となっている。美女木JCTが外環道大泉方面との連絡を優先させたことで、関越道⇔外環道⇔首都高(MEX-5)という経路が可能になった。

1998年に埼玉5号線が開通すると美女木JCTは4方向連絡の構造になるが、3方向連絡でさえ満足な構造に出来なかったジャンクションにさらに2本右折路を増設することは不可能と言ってよかった。かといって、さいたま市の中心部とを結ぶ埼玉5号線との連絡ができないままで済ませるわけにもいかなかった。そこで解決策として出されたのが信号機を用いた平面交差で右左折の交通を捌くという方式だった。

なお、このサイト内では、制度の異なる首都高速と外環道をまとめて「高速道路」と呼ぶ。その他の道路名についても通称を用いている。


美女木JCT現地調査

2004年5月29日取材

1.4km手前地点

美女木JCTの案内が出てくるが、側線が十字路で表現されている。これが全国でも唯一の信号機付きのJCTである(ただし、最近では「高速道路」のインターチェンジの出入路での信号機は珍しいものではなくなってきている)。

300m手前地点

分岐地点

流出路 信号予告

三方向分岐

案内標識

通常「高速道路」では案内標識は緑地だが、ここでは一般道と同じ青地に書かれている。

ちょうど信号が赤になっていた。直進=戸田出口方向に、車が数台停まっている。外環道方面へは車がいない。

矢印式信号

運転手の注意を促すために、信号の本則は赤のままで、矢印式信号で三方向進入可を指示している。

左折車線は専用になっているが、常時左折可ではない。

外環道美女木料金所

「高速道路」のインターチェンジで出入路に信号機が設置されているところも珍しくなくなってきているので、美女木JCTの信号機も今となってはさほど感慨は覚えなかった。
JCTを「高速道路」の本線と本線とをシームレスに結ぶ構造だと考えると美女木JCTの信号機は異例のものだが、一旦「高速道路」を降りて一般道の交差点を経て再度別の「高速道路」に入り直すという感覚でいれば、違和感はないだろう。