富士山・宝永火口

Mt. Houei - A Lateral Volcano of Mt. Fuji, Japan


富士山・宝永火口空撮

富士山といえば裾野が広がった端整な形を思い浮かべるが、良く観察してみると想像以上にデコボコしている。 その最たるものが、南東の山腹にぽっかりと開いた穴、宝永火口である。

宝永火口は3つの火口からなる複合式の火口で、それぞれの火口縁が重なっているために こうした複雑な曲線が描かれている。
波打つような火口壁、宝永火口の魅力だ。

[定期便からの空撮(富士山)]

富士山・宝永火口(空撮)
富士山・宝永火口(空撮)

富士山・宝永火口

宝永火口に魅せられて、空撮だけでは物足りなくなって実際に行ってみた。 富士山の中腹、標高2,600mにあるが、スカイライン(静岡県道152号)で新五合目まで車で行けるので 駐車場から徒歩20分ほどでたどり着くことができる。高山なので油断は禁物だが、さほど難しい登山ではない。

取材日=2012.06.26

富士山・宝永火口

富士宮口の新五合目から一度六合目まで登り、山頂へ向かう登山道から外れて 脇道を下ると、宝永第一火口の縁に出る。
なだらかにえぐれた火口縁の曲線が目に飛び込んでくる。美しい。この景色を見たかったのだ。

富士山・宝永火口
富士山・宝永火口

宝永第一火口

富士山・宝永火口
富士山・宝永火口
富士山・宝永火口
富士山・宝永火口

宝永第一火口の火口底から、第二火口を見下ろす。

富士山・宝永火口

宝永山登頂

最初は宝永第一火口の火口底までで引き上げる予定だったが、雄大な景色を見ているうちに欲が出て 宝永山の頂上(標高2,693m)まで行くことにした。細かく砕かれた軽石の斜面は足を取られて登りにくく、標高2,600mと あって息も弾んで、休み休みだったが、なんとか宝永山山頂に立つことが出来た。

富士山・宝永火口
富士山・宝永火口
富士山・宝永火口

十二薬師岩

宝永山の山頂を目指して宝永第一火口の火口壁を登っていくと、だんだん眼前に近付いてくるものがある。 まるで龍が踊っているかのような岩脈である。十二薬師岩と呼ばれる。

良く見ると地層を横切って岩脈が続いている。礫が積もった富士山の山体に、いくつものひび割れが生じ、 そこに溶岩が流れ込んで冷え固まったのが十二薬師岩の岩脈だということがわかる。

富士山・宝永火口
富士山・宝永火口

宝永第二火口縁から、第一火口と宝永山を望む。

富士山・宝永火口
富士山・宝永火口

宝永山を形作っている赤岩。
宝永山は宝永第一火口の噴火で吹き飛ばされた岩屑が積もった小山(スコリア丘)のように 思えるが、実際にはこのように砕かれていない岩盤が盛り上がって出来ている。 このことから、宝永山の成り立ちは、宝永噴火の際の溶岩の一部が地下に入り込んで 岩盤が持ち上げられてできたと考えられている。

富士山・宝永火口

宝永第三火口

富士山・宝永火口

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