青ヶ島に入るまで

第1行程

羽田空港→八丈島空港

ANA821便八丈島行きは天候調査中

ディスプレイの一番下の行に、ANA821便八丈島行きは「天候調査中」と表示されている。

青ヶ島行きは、羽田空港朝7時45分発のANA821便から始まる。
このフライトが定刻8時30分に八丈島空港に到着することを前提として、八丈島空港9時20分発の青ヶ島行きヘリコプターに乗り継ぐ計画になっている。 ヘリコプターを運行している東邦航空に予約をした際にも、「飛行機が遅れた場合、乗り継げるかどうかの最終判断はこちら(東邦航空)で勝手にしますから」と念を押されている。

(2005年)3月22日、早起きをしたおかげで、時刻はまだ7時前に羽田空港の第2旅客ターミナルに着いている。早速自動チェックイン機で八丈島行きのANA821便のチェックインを済まそうとしたら、そこには「天候調査中」の文字があった。
飛ぶ、飛ばないの判断は午前7時にするという。その判断の時刻の前に空港に来てチェックインを済ませてしまったものだから、「もし飛ばなかったら…」ということを含んだ上での、とりあえずのチェックインということになる。

落ち着かないまま時刻は7時となり、運行状況は「天候調査中」から「条件付運行」に変わっていた。つまり、飛ぶには飛ぶけれども、現地の状況次第では羽田空港に引き返すこともあるという。

ここで3つのシナリオが思い浮かぶ。まず1つめは、無事天候が回復して定刻に到着するケース。これが望みだ。

2つめは八丈島上空まで行ったものの天候悪化で羽田空港に引き返すケース。これだと旅行は取りやめになるけれども、八丈島にすらたどりつけていないので、東京−八丈島間の航空券は払い戻しになる。ヘリコプターのキャンセル料は発生しないし、予約した民宿も、本人がたどり着けないのだからどうしようもない。青ヶ島に行けないのは残念だけれども、金銭的な損害は全くない。またいつか出直せばいい。

さて、問題は想定される第3のケースである。つまり、天候の回復待ちをして飛行機の到着が著しく遅れた場合。既にヘリコプターは独自の判断で飛び立っている。今回の旅の目的はあくまでも青ヶ島だから、乗り継げる便がないのに八丈島空港まで送り届けてもらっても意味はない。意味はないのに、航空会社としての「目的地」に着いたということで航空券の払い戻しはない。こうなると、最終目的の青ヶ島をあきらめて八丈島だけを観光して帰るしかなくなる。 八丈島まで一度来たのに、今度は青ヶ島へ行くために八丈島にもう一度行くというのはなんだか面倒に思えてくる。全てが中途半端に終わってしまうのだ。

ANA821便は、単に飛べばいいというフライトではなく、私にとっては定刻で飛んでもらうしかないフライトなのである。

こうした人の苦悩を知ってか知らずか、飛行機はターミナルの一番遠い搭乗口に停泊している。
早めにセキュリティチェックを通過して、搭乗ゲート前の待合室に入る。だんだん7時45分の定刻が迫ってくるが、搭乗が始まる気配が全くない。 7時40分になっても始まらない。本来なら乗客が全て乗り終わって機体が動き始める時間の定刻45分になって、ようやく搭乗が始まった。 頭の中は八丈島での乗り継ぎ時間の計算でいっぱいである。5分、10分、まだ大丈夫。これ以上になると八丈島空港であわただしくなる。 そう思っていると、乗客の搭乗は5分ほどで終わり、なんとか間に合う時間内で飛行機は羽田空港のボーディングブリッジを離れた。後は八丈島空港に無事到着することを願うだけである。

昨年(2004年)12月1日にオープンしたばかりの羽田空港第2ターミナル

全日空色の機体が並ぶ中で、八丈島行きの機体はリゾート色に塗られている。

定刻を約20分遅れで、八丈島空港に到着した。

羽田空港から八丈島空港までの飛行時間はわずか45分。ジュースさえ出ない。 一度離陸すると飛行機は順調に飛び、持ち込んだペットボトルとベーグルで朝食を摂る間もあわただしく、八丈島空港への着陸態勢に入った。

八丈島空港に降り立って、時計を見ると時刻は8時55分。30分前までにしなければならないヘリコプターの搭乗手続き締め切りを割り込んでいる。
とにかく急がなければならない事態になった。

八丈島空港から羽田に折り返していく、JA391K機を見送る。


[次へ]

目次へ戻る

(C) TTS 2005 All rights reserved