富士塚お山開き

毎年７月１日は富士山の山開きの日。この日にあわせて関東各地にあるミニチュアの富士・富士塚でも「お山開き」の 行事が行なわれる。
今年（2012年）は７月１日が日曜日、宵祭りに当たる前日６月30日が土曜日と、暦に恵まれたので、これは好機とばかり「お山開き」 当日の富士塚の様子を見物しに出かけた。

取材日＝2012年７月１日

品川富士

東京都品川区

ここの富士塚自体はいつでも登拝できるが、７月１日のお山開きの行事に参列させていただいた。

初めに品川神社の神主による神事が行なわれる。
祝詞奏上、玉串奉納という神道作法に則ったもので、いわば品川神社摂社・浅間神社として、大家さん開催の行事だと思えばいい。

切麻散米も行なわれた。

神道式の儀式が終わると、講員だけによる儀式に移る。
神社正面の祭壇とは別に、富士塚のほうに向けて祭壇が設けられ、そちらのほうに居直る。 そして先達を中心に、「お伝え」を唱和する「拝み」が行なわれる。「お伝え」は、富士山の祭神・木花開耶姫の称賛や 穢れを祓い清める「六根清浄」のほかに、健康や家内安全などの現世利益を願うものもあり、その文言の合間合間に 鈴の音が鳴らされる。
風鈴のようにチリンチリンと甲高く響く鈴が、涼しげに聞こえる。

浅間神社の社殿での「拝み」が終わると、いよいよ富士塚に登拝する。講の幟旗を先頭に、 先達が幣を携えて、行列して登山道を登る。お山開き一番の晴れがましい場面だ。講員は皆裸足だ。

富士塚の頂上で、富士山の方向を向いて遥拝する。

江古田富士

東京都練馬区

品川富士に引き続き、お山開き神事の「ハシゴ」をしようと向かったが、2011年の東日本大震災で被災し 復旧工事のため、2012年のお山開きは行なわないとのこと。年に数日の限られた日しか登拝できない富士塚だけに、残念。

池袋富士

東京都豊島区

年に一度、お山開きの日にしか登拝できない富士塚。
駅から途中の交番で道案内を請うと、「ああ、お祭りね」と道を教えてくれた。

お山開きの神事は午前中に行なわれたらしく、切麻散米の紙片が登山道に散らばっている。

[６月30日（駒込富士、目黒富士、下谷坂本富士、十条富士）]

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