五島・福江島のスケアン漁

五島・福江島にスケアン漁(スケ網漁)と呼ばれる伝統的な漁法が行なわれる漁場があると聞いて、見に行った。
石干見とも呼ばれる漁法で、遠浅の入り江の入り口に石で柵を築いておく。潮が満ちているときは石柵は水面下に隠れて 魚が自由に出入りできるが、潮が引くと石柵が水面に顔を出し、入り江に閉じられたプールを作る。潮に乗り遅れた魚がプールに 取り残されて、それを捕るという漁法である。


三井楽のスケアン漁

現地を訪れたのは2010年11月23日。この日の干潮の時刻は午後3時6分(福江港)。ここまで調べて現地に出かけた。
最初に着いたときは午前11時ごろ。この時はまだ潮が満ちている状態で、スケアンの石柵は水面下に沈んだままの状態だった。 これだと単なる入り江にしか見えず、あきらめていったんは引き揚げた。

この状態では、魚は石柵を越えて自由に外海と入り江とを行き来できる状態だった。

その後同行者を福江空港まで車で送り、自由時間ができたので、再度三井楽に引き返した。時刻は午後4時20分ごろ。 干潮の時刻から1時間以上過ぎていたが、潮はまだ引いた状態で、ちょうど石柵が入り江の口を塞ぐように横たわっていた。
これぞ見たかった光景である。入り江の奥に閉じたプールが出来上がり、入り込んだ魚が外海に逃げ出せないようになっている。 残念ながら実際に魚を取っている場面−漁をしている場面−は見ることができなかったが、漁の手法を充分に納得できる光景だった。

同様の漁法は、干満の差が大きい有明海や、沖縄県の下地島にも残されているらしい。 こうしたところも一度は訪れてみたい。

スケアン(潮が満ちている状態)
スケアン(潮が引いている状態)

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