TTS日本の道路探検>鉄道から道路へ


旧筑波鉄道跡

茨城県道501号岩瀬土浦自転車道線は、茨城県土浦市から岩瀬町まで40.1キロメートルの自転車専用道路である。この自転車道は年に廃止になった筑波鉄道の廃線跡を転用したもので、茨城県が平成3年から11年間をかけて整備を進め、平成14年に全線の整備が終わっている。2市2町2村にまたがる広域の自転車道で「つくばりんりんロード」という愛称がつけられている。
自転車道に整備されるにあたって各駅のプラットフォームの遺構はほぼそのまま残され、2キロほど走ると出てくる駅の跡はサイクリングのペース作りに良い。虫掛、藤沢、筑波、真壁、雨引、岩瀬の駅跡には手を加えて休憩所が設けられている。廃線跡として見るには手が加わりすぎているかもしれないが、サイクリングコースとしては鉄道跡を忍びながら自転車を漕げる楽しいコースに仕上がっている。
もともと筑波山への参拝・観光を目的とした筑波鉄道の跡だけあって、筑波山を眺めながらのどかな田園風景の中を走ることができる。近くにはつくば研究学園都市もある。

今回は、沿線を散策しながら新土浦駅から筑波駅までを走ってみることにした。全コースの約半分の距離を走ったことになる。
自転車は土浦市観光協会で1日500円のレンタサイクルを手配した。

新土浦駅

筑波鉄道跡・自転車道は土浦駅から始まるが、観光協会で自転車を借りて駅前に再び戻るのは面倒だったので今回は横着をして新土浦駅からの出発である。



虫掛駅

駅の筑波よりのところに4キロメートルを示すキロポストが残されている。


坂田駅
虫掛駅と常陸藤沢駅の間に坂田駅という無人駅があったとのことだが、この駅だけはプラットフォームの遺構が定かではなく、見逃してしまった。


常陸藤沢駅


旧常陸藤沢駅跡と旧田土部駅跡の間の直線区間には、国土地理院の精密距離比較基線場が設けられていてキノコの形をした機器が間隔を開けて設置されている。これは測量に用いる機器の精度を確認するためのもので、キノコ型をしている機器は人工衛星からの電波を利用したGPSによって正確に距離を測り出すためのものである。
ここはつくば学園都市にある国土地理院の本院にも近く、筑波鉄道の跡地にこうした設備が設けられたのであろう。


田土部駅


旧常陸小田駅跡の手前で自転車道は小田城跡を横切る。つくばりんりんロード沿線の見所の一つである。

小田城はほぼ東西南北を向いた方形の城で、旧筑波鉄道は本丸を北西から南東に斜めに貫いていた。自転車道は史跡を保護するために城跡の外郭を迂回するように整備され、廃線跡は砂利道のまま残されている。一段と高くなった本丸跡を掘り下げて鉄道を通した様子がよく観察できる。

【地図】つくば市教育委員会の現地案内より

小田城は小田氏の居城で、この田舎の小城が有名なのは、南北朝時代、関東武士を南朝側に引き入れるために関東に下った北畠親房が小田城滞在中に『神皇正統記』を記したと伝えられていることによる。
南朝の主要人物をかくまったことから、小田城は延暦4年・暦応2年(1339年)北朝幕府側の高師冬の軍勢の攻撃を受けることになるが、2年間持ちこたえている。幾重にも濠を目ぐらした復元図からはこの城の堅固さが伺える。現在残る史跡部分だけでなく、筑波鉄道の常陸小田駅のあたりまでももともとは小田城の一部に含まれていた。


常陸小田駅

[筑波鉄道跡:常陸北条・筑波方面]


[鉄道から道路へ][TTS日本の道路探検へ戻る]

お問い合わせ(メール):TTS
スパム対策のため最後にアンダーバー"_"が余計に付いています。
お手数ですが、jpの後の"_"を削除して送信ください。

(C) TTS 1997-2003, All rights reserved