シャワンガンク・ワイン・トレイル(ワイナリー巡り)
Shawangunk Wine Trail, New Paltz, NY
TTSにはあまり似合わないかもしれないが(苦笑)、ニューヨークのワイナリーについて紹介しようと思う。ニューヨーク州は、アメリカではカリフォルニア州に次いでワインの生産が盛んなところとして知られている。 ニューヨーク州内でも、ハドソン河沿いは、ロングアイランド、アップステイトのフィンガーレイク地方と並んで、ワインの有名な産地になっている。ハドソン河谷のなだらかな丘陵地帯が広がり、この丘陵地帯の土壌、気候が葡萄の栽培に適しているのだと言う。
マンハッタンから車で1時間ほど北へ向かうと、ハドソン河谷の丘陵が広がる中に、ニューヨーク・ステイト・スルーウェイ沿いにニューパルツという小さな町がある。ニューヨーク州立大学のニューパルツ校があることでも知られる。町の規模は商店街を5分もあれば通り過ぎてしまうような小さな町だが、大学があるせいか、どことなくお洒落なカフェやアンティーク・ショップがある。
このニューパルツ周辺がちょうどハドソン河沿いのワイン産地の中心で、個人経営のワイナリーがいくつもあって個性を競い合っている。周辺9つのワイナリー(2002年シーズン)がシャワンガンク・ワイン・トレイル(ワイナリー巡り)を組織していて、地図やパンフレットが用意されていて手軽にワイナリー巡りを愉しむことができるようになっている。
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リヴェンデール・ワイナリー |
| 2001年の秋にバークシャー地方へ出掛ける途中で訪れた。夏の行楽シーズンを過ぎていたので他のワイナリーは午後だけの営業とか営業時間が短くなっていたが、ここは朝10時から開いていたので、ニュージャージーを朝に出て途中に立ち寄るにはちょうど都合のいいワイナリーだった。
(自分の所で作っているワインをついでに売っているというよりは)ニューヨーク州各地から取りそろえたワインの販売所といった趣で、テイスティングも店内にそろえてあるワインのうちどれでも5種類を選択してできるという具合だった。手渡されたワイン・リストには全部で15種類ぐらいのワインが載っていただろうか。実際の所、ここのテイスティング・ルームはVintage New York(TM)という、マンハッタンのSOHOにも販売所とテイスティング・ルームを構える団体が経営している。ワイン以外にもちょっとおしゃれな感じの小物やハーブなどが売られていて、同行した日本人一同、ニューヨークの片田舎と言うよりは、山梨のワイナリーのお土産コーナーに近い印象で一致した。だが、このワイナリー独自のワインの印象が全然ない(おそらく説明書きを読んでおもしろそうなワインや、値段の高いワインばかりをテイスティングしたのだと思う)のは残念だ。
テイスティング代はひとり3ドルぐらいだったが、20ドル以上買うと無料になった。 |
アディール・ワインヤーヅ |
| 2002年の夏にニューパルツを再訪した。
この時は下調べをせずに出掛けてしまったのだが、そこは一度来てある程度雰囲気がわかっているので、とりあえずニューパルツの町に着いて後はシャワンガンク・ワイン・トレイルのサインを見つけながら行動することにした。そうして、難なくたどり着いたのがアディール・ワイナリーだ。
200年前の農作業小屋を改造した建物で、2回の干し草倉庫(Hayloft)部分を改造してテイスティング・ルームにしてある。 |
| ワインは、赤2種類、白2種類、ロゼ1種類、デザートワイン1種類。一番人気はSoltary Oak(白)で、オーク樽で仕込み、その名の通りオークの香りがほのかにする。
無料でテイスティングできる。 |
アディール・ワイナリーでシャワンガンク・ワイン・トレイルの地図やパンフレットをもらい、時間的にもう1軒ぐらい回れそうだったので、ホワイトクリフを選んで訪れてみた。 ホワイトクリフ・ワインヤード&ワイナリー |
| ワイナリーから白い岩肌(=white cliff)を眺めることができ、これが名前の由来になっている。ワインボトルにも図柄が描かれていて、このワイナリーのシンボルにもなっている。 |
| ワインは、赤2種類、白2種類、ロゼ1種類。自家製ワインの標準的な品揃えだ。
テイスティング代は3ドル。ただし、テイスティングに使ったワイナリーの名前入りグラスをお土産に持ち帰ることができる。 |
こんな感じでワイナリー巡り
ワイナリー巡りの際の予備知識。
お気楽に。Take it easy!
- 色と品種
- 白・赤・ロゼ
ワイナリーでは、白と赤をそれぞれ2種類、ロゼを1種類の5種類を取りそろえていることが多い。ワイナリーによってはデザートワインや、ストロベリーやラズベリーなどの果物ワインを揃えているところもある。
白はシャルドネェー、赤はソウヴェニオンかメロゥがが有名という知識しかなく、ワイナリーでその土地に適した品種についていろいろと解説を聞くのが愉しい。あるワイナリーにはシャルドネェーがなかったので「シャルドネェーはないの?」と聞いてみたら、良くある質問らしく、シャルドネェーとの味の違いから生育土壌や気候条件まで詳しく解説してくれた。
- 味
- ワイナリーでテイスティングする時に、まずどんなワインが好みが聞かれる。あまり難しく考えずに、まず辛口なのか甘口なのか伝えることにしている。基本的な味は、辛口(ドライ)か甘口(スウィート)、豊饒(フル・ボディ)かフルーティ、これに赤だとにがい(ビター)か口当たりがいい(マイルド)で表現する。
- 香り
- これはなかなか難しい。ワインの奥深さは香りにあって、ぶどうから作るのにぶどうの香りではなくて、苔の香りがしたり、木の香りがしたり、林檎の香りがしたり、そういうのをいかに嗅ぎ分けて的確に表現するかでソムリエの人が技術を磨いているくらいである。
ワイナリーの側でも香りの特徴を売りにしているところもあって、オーク樽で寝かせて(エイジング)オークの香りを付けている銘柄には「〜 Oak」と名付けていたりする。なるほど、そういうワインには木の香りがして、これがオークなのかとうなずく。後はそのオークの香りが自分の好みかどうか考えればいいだけのことで、これは純粋に個人の好みの問題なので、嗅ぎ分けたり表現したりという技能の必要なことではない。
香りについては特に予備知識を持たずに、ワイナリーの人の紹介を聞いて愉しむことにしている。
また、赤ワインについては香りを引き出すために、グラスをゆすって撹拌したり、口に含んでからも鼻の奥を膨らますようにするとか、いろいろ「作法」が決まっているようだが、あまり気にしていない。グラスを2〜3回ゆすって香りを嗅いでから飲むぐらいはしてもいいかもしれない。
- 車の運転
- ワイナリー巡りには車が不可欠。テイスティングした後も運転していくことになるが、テイスティングでは舐める程度の量しか注いでくれないので酔っぱらうということはないだろう。運転免許の試験の時に「グラス1杯のワイン=1缶のビール=1ショットのウイスキー」のアルコール量が同じという問題が出たが、1,2箇所を回ったくらいではこの許容量まで達することはないだろう。
とはいえお酒には変わりはないので、酔いが回ってきたなと思ったら、ワインヤードのピクニックエリアでしばらく酔い覚ましをするくらいの余裕は欲しい。
- お金
- テイスティングの料金システムはワイナリーによって異なっている。
- 無料でテイスティングさせてくれるところ
- テイスティング料金が決まっているが一定額以上ワインを買うと只にしてくれるところ
- $3のテイスティング料金を取るがテイスティングに使ったグラスをお土産に包んでくれるところ
- ワインの製造工程の見学ツアー料金も含めて$5のところ
と様々である。お金を取るところでも、販売促進の意味もあるテイスティング自体でお金を取るわけにもいかず、お土産のワイングラスや見学ツアーと抱き合わせという形にしたり、ワインを購入するとテイスティング代はタダにしている。
販売しているワインは、売れ筋でボトル1本12〜13ドル程度。ワンランク低いもので8ドル前後(2002年夏のシャワンガンク・ワイン・トレイルの相場)。
高いものでも15ドルとか20ドル前後だろうか。ほとんど見かけない。
販売しているワインの価格帯を見てもわかるようにそう高級なワインではない。むしろニューヨークに近いことから、中流階層の、「今度のパーティにはちょっとおいしいワインを出してみたいな」とか「ニューヨーク州の田舎に行くんだったら、あそこはワイナリーが有名だな」という感じで出掛けている人が多いと思う。それぞれこだわりを持ったこじんまりとしたワイナリーだが、客層は山梨の観光ワイナリーを訪れる層とそう違いがあるようには思えない。そう気取らずに、難しく考えずに。
ワイナリーの人もそのあたりの事情は心得ているので、初心者の質問にもいろいろ親切に説明してくれる。
テイスティングは基本的にワイナリーの人と対面で、感想を言い合ったり質問をしたりしながら愉しむものなので、英語力はそれなりにあった方がいい。どのワイナリーの人も愛想がいい(これはアメリカでは驚くべき事)ので、会話が弾む。
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このページは個人的なワイナリー巡りの記録で、ワインやワイナリーについて解説しているものではありません。ワイナリー巡りの際の予備知識として書いているものは、私個人のワイナリー巡りのスタンスへの理解を深めてもらうためのもので、他の人にお勧めするものではありません。ワインやワイナリーに関する評価は、訪問時の経験や個人的な感想を越えるものではありません。ワインに関する知識で間違っていることもあるかもしれませんので、ご指摘はお受けしますが、ワインに関する論議にはお答えできないこともあります。
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