タッパン・ジー橋

ニューヨーク市の外郭環状線を形成するI-287がハドソン川を越えるのが、タッパン・ジー橋である。この橋はI-87とも重複になっていて、マンハッタンから北上して行くとハドソン川を渡ったところで有料道路のニューヨーク・スルーウェイとなって、州の北部のオルバニーやさらにはカナダのトロントまで通じている。オルバニーで分岐して、シラキュースやバッファロー、ナイアガラの滝まで行くこともできる。いわばニューヨーク市の北の玄関口に相当する橋である。
主要なハイウェイである上に、もともとハドソン川の渡河地点は限られているので、ラジオの交通情報では常連になっている。

ところで、このタッパン・ジー橋を地図で眺めていると、ハドソン川の川幅が広くなる場所にわざわざ長い橋を架けていることに気が付くのではないだろうか。地図のYonkers付近と比べて、タッパン・ジー橋の架かっている場所は3倍くらいの川幅がある。この地域にはかつてDobbs Ferryのところにハドソン川を渡る渡船があったのだが、タッパン・ジー橋は旧渡河地点よりも離れている上に、Dobbs Ferryよりもさらに川幅が広くなっている。
マンハッタンを中心に半径を一定に描いたら外郭環状線のI-287のルートがこの箇所になったということはあるかもしれないが、それにしても不自然だ。橋は長くなればなるほど建設、維持管理に費用が多くかかるので、川幅の狭い箇所でできるだけ短い橋を架けようとするのが普通だ。むしろ、渡河地点などの地理的条件を考えた上で、環状線のルートが多少膨らんだり内側にひっこんだりということは珍しくもない。

少し調べてみると、タッパン・ジー橋は不況対策の公共事業として、わざわざ川幅の広い場所を選んで橋を架け建設費を上積みしたということらしい。
このあたり、もう少し調べてみたいと思っている。


タッパン・ジー橋は全体でS字型をしている。
ニューヨーク市側(東岸)から来た道路は、最初北向きに進むが川を渡るべく途中で西向きに向きを変える(写真1枚目)。
河岸段丘の高さのままアプローチする。上路ワーレントラスになっている(写真2枚目)。
中央部分はカンチレバートラスになっていて、船舶の航行に支障がないように径間を広く取っている(写真3枚目)。
中央のトラス部を過ぎると再び桁橋になるが、桁の高さを急に減じて水面付近を走る「海中道路」の雰囲気となる。ニアックNyack側(西岸)に渡りきる直前で向きを北向きに変えて、しばらくは水際を川の流れと並行するように走る。

注:ワーレントラスは、トラスの鋼材の組み方の一種。カンチレバートラスは橋全体の力学構造を指し、山並みの形に特徴がある。


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