揺れるチョコの町、米ハーシー=会社身売りで経営陣と 住民対立

【ニューヨーク2日時事】米チョコレート大手ハーシー・フーズの企業城下町として知られ るペンシルベニア州ハーシーが、会社の身売り方針発表を受けてハチの巣をつついた 騒ぎとなっている。焦点はウォール街流の経営効率化か、家族的な経営か−の選択だ。

発端となったのは7月25日、同社の親会社であるミルトン・ハーシー・スクール・トラスト が、自社の経営効率化のためにハーシーを売却し、投資先を分散することを検討してい ると発表したこと。同トラストは全ハーシー株式の31%、議決権付き株式の77%を保有 している。

売却方針は「特定の社に偏った投資は賢明でない」(同トラスト)というのが最大の理 由。さらに、エネルギー卸売り大手のエンロンや通信大手のワールドコムなどの相次ぐ 企業破たんを目の当たりにして、分散投資機運が盛り上がった。既にクラフト・フーズや ネスレなど内外の食品メーカーが関心を示しており、売却となれば100億ドル(1兆200 0億円)は下らないという。

だが、ハーシーは1894年創業の老舗で、米国文化の一角を担ってきた象徴的企業。ましてチョコレート・アベ ニューやココア・アベニューといった通りが存在するハーシーの住民1万3000人にとって、同社が人手に渡ること など想像できない事態だ。

地元と、同トラストの考え方が違ってきたのは、同トラストの経営陣にハーシーの役員が加わらずに独立性を高め たコーポレートガバナンス(企業統治)策の結果という。ウォール街では今回の身売りの報を評価して株価が急上 昇。一方、チョコレートの町では動揺が広がりつつある。企業改革と伝統のひずみはなお深いようだ。 (時事通信)

[2002年8月3日17時2分更新]


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