阪神高速2号淀川左岸線・開通前一般公開ハイウェイウオーキング

阪神高速2号淀川左岸線、この道路の「通し方」を知ったとき、これはもう是が非でも現地に見に行かないといけないと思った。その 通し方とは、正蓮寺川という川を約4kmにわたって埋め立て、地下に高速道路のトンネルを作り、地上は公園化するというものである。

都市高速は川を利用する。

既成の過密都市内部に新たに高速道路網を作ろうとすると、都合よく、線状に空間が取れるのは河川空間ぐらいしかない。だから 日本橋川に覆いかぶさって高架道路を通した首都高(東京都)から、相模川沿いにルーティングした圏央道(神奈川県)まで、川という空間に 割り込むように道路が通されてきた。
究極的には、川そのものを埋め立て、あるいは干上がらせて、川を無くしてしまって線状の空間を道路に置き換えてしまうという ことさえやってのけた。知られているところでは、江戸城の外堀を埋め立てた首都高KK線や、築地川・楓川を干上がらせてそのまま河床を 道路にしてしまった首都高・都心環状線の銀座の区間がある。
ただ、こうした「通し方」は風景も土地の機能も一変させてしまうという過激な方法だけに、景観保護や土地の記憶を永続的なものとして とらえる意識が強い今日では、有り得ない方法だと思われている。ムック本 『首都高をゆく(イカロス出版、2009年)』では「高度経済成長期だからこそ出来た」「今では絶対にできない」(ともにp.26)との見出しが煽っているが、 これが一般的な状況理解であろう。

さて、阪神高速2号淀川左岸線のことである。
まさか平成の時代において、高度経済成長期のような過激な都市改造は行なわないだろうという常識を覆して、今まさに河川を潰して 道路を通すということをやってのけようとしている。この事態に道路マニアが興奮しないわけがない。「ドボク」マニアが熱狂しないはずがない。 都市計画を論じるときには「河川→道路」置換の事例として知っていなければ、そいつはモグリであろう(昭和61年=都市計画決定と合わせて 言えるようにしておこう)。 そんな世紀のイベントを、関西人だけの楽しみにしておくのはもったいない。

気が付くと、開通前一般公開ハイウェイウオーキングに申し込みをしていた。その当選葉書を握り締め、東京から飛行機の早朝便に乗って、 平成25年5月11日、私は、大阪は福島区、開通前の大開ICに来ていた。


大開IC(大阪市此花区)から入場する。
まだ開通前なのでIC名は隠されている。

背後見える塔は大開換気塔である。

阪神高速2号淀川左岸線・開通前一般公開ハイウェイウオーキング

大開ICの横には公園が設けられている。
地上の景観は、正蓮寺川を埋め立た公園の脇に、地下の高速道路トンネルへの開口部があると言った方が正確かもしれない。

阪神高速2号淀川左岸線・開通前一般公開ハイウェイウオーキング

大開ICのランプを地下に降りていく。
ハイウェイウオーキング当日は残念ながら雨模様だったが、大部分はトンネル区間なので助かった。

阪神高速2号淀川左岸線・開通前一般公開ハイウェイウオーキング

おおよそ地下30m(埋め立てた地表面からの差)の地点で、流入路が本線と合流する。
大開ICは一般道との接続部は大阪市福島区だが、本線との合流部は此花区になる。流入路の途中に行政界を示す標示がある。

阪神高速2号淀川左岸線・開通前一般公開ハイウェイウオーキング

阪神高速2号淀川左岸線・開通前一般公開ハイウェイウオーキング

阪神高速2号淀川左岸線・開通前一般公開ハイウェイウオーキング

河床に躯体を組み上げてトンネルにしているため、函状の壁面が続く単調なコースである。

阪神高速2号淀川左岸線・開通前一般公開ハイウェイウオーキング

湾岸線との合流(北港JCT)まで4km

阪神高速2号淀川左岸線・開通前一般公開ハイウェイウオーキング

阪神高速2号淀川左岸線・開通前一般公開ハイウェイウオーキング

展示してあった標識板、高さ1.2m、幅4m

阪神高速2号淀川左岸線・開通前一般公開ハイウェイウオーキング

見学コースの北港JCT方面側折り返し地点

阪神高速2号淀川左岸線・開通前一般公開ハイウェイウオーキング

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