青函トンネル吉岡海底駅見学

風の通り道

この奥は斜坑へとつながっている。斜坑には常に地上から風速20mの勢いで空気が送風されている。この台風並みの強烈な風は、 通常は斜坑の底部まで行ってからトンネル内を循環しているが、緊急時にはこの奥の扉を開放して一気に作業坑側から本坑側へと風を 吹かせるようになっている。緊急時、本坑には火災を起こした列車が停まっているわけで、つまり、煙を絶対に、避難経路となる作業坑や 斜坑に浸入させないための工夫である。
見学している吉岡海底駅の中で、この部分が斜坑に直接面している場所であるので、秋から冬にかけては地上から冷たい風が入り込む。 風がすぅっと通り、常に20℃プラスマイナス2℃に保たれているトンネルの中で、ここが一番涼しい場所である。
一方、夏場はどうなるか。トンネルの中で一番暑い場所になるのかというと、その程度のものでは済まないらしい。 夏は暖かい空気が入り込むため、トンネル内の「冷たい」空気と触れ合って、霧が発生するそうである。 特に今年(2004年)は道南地方は暑い日が多かったために、霧が晴れることがなく、展示してあった写真のパネルが結露してしまって 全部だめになったそうである。そういえば、展示してあった工事中の様子の写真などがぼろぼろになってカビが生えてたのは、このためであったか。
この奥が斜坑
この奥が斜坑

展示コーナー

ボーリングマシーンの回転ドリルの一。
主に地盤が安定していた地上部を掘り進めるのに活躍したそうである。
ボーリングマシーンの回転ドリルの一

削岩機
「トンネルを掘る」と言ったときに思い浮かべる、ガガガガガと岩を掘っていく機械である。地層が複雑に入り組み、断層も 多い青函トンネルの海底部では、経験と勘を頼りに、岩盤に穴を空けダイナマイトで発破をかけて岩を砕くという従来の手法が 多く用いられたそうである。

削岩の様子がジオラマで再現されている。
岩を削る工夫の後には、削り取った岩石(ズリ)を運び出す機械が続いている。


削岩機
ジオラマ ズリ運搬車
津軽海峡海底の地質の説明パネル。ボーリングされた岩石のコア(円筒形のサンプル)も展示されている。
地質の説明パネル
青函トンネルの平面図。何度も何度も説明に使われたために、吉岡海底駅を示す円の部分が擦り切れてしまっている。
青函トンネルの平面図
青函トンネルの断面図。
なお、このパネルを含めて、もともとはこの後に見学する「横取り基地」に置かれていたものだが、 今はそこはドラえもんの アトラクションに使われてしまっているため、こっちのスペースに追い遣られてしまっているらしい。このパネルに書いてある海面下や 海底下の数字も、もともと置かれていた横取り基地を基準にしたもので、今置かれている場所では正確なものではないそうだ。 展示の裏話まで、案内役の渡辺さんは正直に説明してくれた。
ぼやいてみせるのも話術のひとつだが、ところどころに本音が垣間見えるような話し方ではあった。
青函トンネルの断面図

避難所

現在は展示コーナーになっている場所=斜坑からの風の通り道を置くに進んだ場所に、避難所がある。ここには1000人が 座れるだけのベンチがある。またトイレ、救護室、更衣室、係員の詰め所なども設けられている。緊急時に、列車から避難した乗客は いったんここに落ち着くことになる。ただし、ここはあくまでも一時的な集合場所で、順次、斜坑を通って、最終的には地上に避難する 手筈になっている。長時間留まるということは想定していないために、水や食料品などは備えていないとのことである。

見学も、ここまで着てようやく半分である。避難所にあるトイレ(非常時用と普段用の2箇所がある)で用を済ませることもできる。


避難所

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