青函トンネル吉岡海底駅見学本坑いよいよ本坑の見学である。 本坑は、列車を通すという青函トンネルの本分を担うトンネルである。作業坑や斜坑など他のトンネルはすべて、本坑の機能を
維持するためにある。
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では、列車を通すことを目的としている本坑の特徴を一言で言うと、すべてが新幹線仕様であるということである。それは、新幹線が
通ってこそ青函トンネルの真価がより発揮されるという将来への願望であり、現在、在来線が利用するには贅沢なくらいだという一種気位の
高さにもなっている。
新幹線仕様の第一は、トンネルの直径の大きさに現れている。新幹線は標準軌を採用しているため車体の大きさも在来線より一 回り大きい。在来線の特急では横一列通路を挟んで4人がけだが、新幹線では5人がけになっているのも、車体が大きいからである。さらに 新幹線同士が高速ですれ違うとき、互いに強い風圧を発生させるので、走行に影響がないように複線の間隔を広く取っておく必要もある。 その結果、本坑は幅9.7m、線路からの高さが7.65mもある。 実は吉岡海底駅のホームも新幹線用の規格で作られていて、そこに在来線用の小さな車体の列車が停まるとホームと車体の間に隙間が できてしまって、乗降の際に危険とのこと。見学者が乗降する2号車の停まる付近だけは、ホームが張り出す格好になっていて、在来線用に対応 している。 線路を支える路盤も、構造は東北新幹線や上越新幹線で採用されているものと同じになっている。路盤の幅も新幹線の標準軌(1,435mm) にあわせて作ってあるため、在来線のレールの幅(1,067mm)には広すぎて、片方に寄るようにレールが敷設されている。こうして見ると、レールも どことなく遠慮がちである。路盤には印がつけてあって、将来はそこに新幹線用のレールが加わるようになっている。 なお、現在でも青函トンネルのレールは、新幹線と同じ1m当たり60kgの重厚なレールを使っているとのことである。
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青函トンネルのメイン・列車が通る本坑。新幹線規格で作られているところに、現在は在来線のレールが敷かれている 。専門用語で言うと「スーパー特急」状態である。 |
新幹線仕様で作られている路盤と、そこに4分の1の幅を余らせて敷かれている狭軌のレール。路盤に空いている 穴は、列車火災時に床下の火を消化するスプリンクラーである。 | |
列車が通過していった。渡辺さんによると、今日は時速140kmぐらいで、まあまあのスピードとのこと。 | |
列車が通りすぎると、トンネル内は闇に包まれる。 | |
本坑から作業坑へ通じる連絡坑。手前側が本坑で、作業坑に向かって傾斜して下って行っているのがわかる。
これは、万が一列車火災が起きたときに一番怖いのは煙に巻き込まれて避難できなくなることだが、熱せられた煙は上昇する
という性質を考え、作業坑側を低くしておくことで煙の進入を抑え避難路を確実に確保するための工夫であるという。
こうした構造的な工夫に加えて、列車火災時には作業坑側から本坑に向かって風速20mの風が吹き付けるようになっている。 避難するときは、台風並みの風に逆らって、風上の方向に、煙を避けながら進むことになる。 |
壁面に掘り込んである"30"や"30I"の意味についても説明があった。[こちら] |
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