八郷町は関東平野の北海道?!

いきなりなタイトルだが(八郷町民の方すみません)、八郷町にある柿岡地磁気観測所を訪れて職員の方からいろいろ苦労話をうかがった際に、「ここは盆地になっているから寒さが厳しくて、北海道より寒くてね」という話を聞いた。後で地図を広げてみるとなるほど、八郷町は筑波山と加波山から成る馬蹄形の山地に囲まれた盆地にすっぽり収まっている。確かに冬は底冷えしそうな地形である。

地質学的にいうと、この一体の山は地底の奥深くで生成された花崗岩でできている。 花崗岩は風化しやすく恋瀬川の浸食作用を受けて盆地ができたが、筑波山は風化に強いはんれい岩が頂上付近を覆っていてそれが花崗岩を風化から守る働きをして山地が残ったという。一方で加波山の方は、花崗岩がむき出しになっているにもかかわらず700メートル級の山地が残っている。こうした地質の差があって八郷盆地の成因は一筋縄ではなかなか説明しにくいらしい。
[参考:筑波山・加波山の山麓緩斜面について]
余談ながら、この地質の差は産出する石材の差にもなっていて、筑波山付近で採れる筑波石は加工しにくいので天然石のまま庭石に用いられ関東三名石のひとつになっているのに対して、加波山付近で採れる黒雲母花崗岩(御影石)は加工しやすく、真壁石として知られ、墓石や燈籠をはじめ建材として用いられている。真壁石は東京の迎賓館や日本銀行本店にも使われている。

規模は違うが、花崗岩が風化、浸食されてできた盆地。
岩手県平泉町束稲山。

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