和田浦捕鯨


引き揚げ

解体は、まず海中に繋留してあるツチクジラを解体小屋に引き揚げるところから始まる。体にワイヤーをかけ、ウインチで 巻き上げる。
スロープに全身が乗り上がった。大きさが実感できる瞬間である。水中で見ていたときよりも、一回り大きく感じる。 同時に、体から血が流れ出し、水路に流れ込んで海水を赤く染めていく。
解体作業を最後まで見守った中で、捕鯨という行為の残酷さを感じることは正直ほとんどなかったのだが、この瞬間だけは残酷さを感じた。 生き物が血を流している場面というのは、本来残酷なものである。全身を見渡せたことで、大きさや質感や生態などの具体的なイメージが できあがり、この鯨が生きているときのことを想起したのだろう。

和田浦捕鯨

調査

捕鯨は資源管理の下に行なわれているため、解体に先立って体長などの計測が実施される。調査は 解体途中でも随時行なわれていた。

和田浦捕鯨

準備

鯨が引き揚げられる間、解体の準備が着々と進められていく。
グラインダーで大きなナタの刃を研いでいる。これを使って解体するのだ。

和田浦捕鯨

解体

いよいよ解体が始まる。一番の大ナタが頭部の後ろに入れられる。
既に死体になってしまっているので鮮血が飛び散るというようなことはない。

遠巻きに眺めていたがロープの手前まで行っても良いようで、すぐ側で解体作業を見守ることにした。

和田浦捕鯨

こんな間近で見学が出来る。

腹部の方からもナタが入れられた。

和田浦捕鯨

背中の皮を剥いでいく。
大ナタを入れた後は、皮にワイヤーを引っ掛けてウインチで巻き取っていく。 バリバリバリという乾いた音がする。気持ちのいい音ではない。

和田浦捕鯨

剥ぎ取られた皮には、たっぷりと皮下脂肪が付いている。
早速細かく刻まれて氷水に漬け込まれていく。

和田浦捕鯨

皮を剥がれて筋肉がむき出しになってしまった。いよいよ赤身の解体である。

和田浦捕鯨

肋骨の付いた部分を切り離すと、中から肺が姿を現わした。

和田浦捕鯨

取り出された気管と肺

和田浦捕鯨

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