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旧北陸本線跡・山中越え

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山中越え地形図


赤色山中越え廃線跡=福井県道207号黄色北陸自動車道
白色国道茶色現在の北陸本線

地点名標高
杉津PA付近(廃線跡始まり)164m
山中トンネル杉津口252m
山中トンネル今庄口288m
大桐196m
南今庄154m

国土地理院発行の50mメッシュ(標高)データからカシミールで地点を特定して算出した。
山中トンネルの延長が1194.5mで、標高差36m、勾配にして30.1‰というのはちょっと急な数値になってしまった。25‰に近い数字が出てくれると嬉しかったのだが。

【解説】
この地形の特徴は、馬蹄形をした尾根筋とその内側に深く切れ込んだ鹿蒜川の谷筋だ。尾根筋のうちAの部分は海側と内陸とを隔てていて、Bの部分は東西に伸びて交通路の北進を妨げている。これらを鉄道や道路はどのように克服しているのだろうか。

旧北陸本線は馬蹄形をした山脈にそって北西に膨らむ大きな曲線を描いている。Aの尾根の海側を回り込んで、山中トンネルで分水嶺を越えて、鹿蒜川の谷筋へ抜けている。山中トンネルはこの区間で一番長いだけでなく、海側から内陸側へ抜けるという地形上も重要な位置を占めることがわかる。ちなみに手元で計測してみたところ、山中トンネルの今庄側坑口が標高288mと区間内で最も高くなっている。山中トンネルの中は今庄側に向けて登る片勾配になっている。
Aの尾根からは支筋とも言えるような尾根が日本海へ向けて伸びていて、この指呼の間を横切るためにトンネルが連続している。
鹿蒜川の谷筋では、南を向いてしまっている場所もある。できるだけ少ないトンネルで、地形に従って線路を敷いた結果だ。

北陸道は、杉津までは旧北陸本線跡に沿っているが、Aの尾根を敦賀トンネルで抜けて一気に内陸に入り込んでいる。その割には敦賀トンネルを抜けた後は支流の谷筋に忠実に走り急なS字カーブが入っている。鹿蒜川を横断しBの尾根をこれまたトンネルで通過し反対側にある谷筋に抜けると、今度はまた今庄ICへ向かってS字カーブが入っている。尾根に無理矢理トンネルを通しては支流の谷筋に迷い込むという感じがする。地形が厳しいことは確かだが、地形の大勢を読み切れていないような線形だ。これをメリハリと取るか(建設予算の都合もあるだろうし)中途半端と取るかは人それぞれだろうが、この区間は線形が急で運転していて疲れる。

これに対して、北陸本線の北陸トンネルは潔い。地形にこだわる以前に敦賀と南今庄との間を一気に貫いている。13.870kmの長大トンネルだ。この地図の範囲のほとんどはトンネルで、平野が広がるようになった南今庄駅の寸前になってようやく顔を出している。

こうして旧北陸本線、北陸トンネル(現北陸本線)、北陸自動車道を比べてみると、2本の鉄道の方はトンネル技術の進歩もあって対照的だがそれぞれ技術に裏付けされた哲学があるなぁという気がするのに対して、高速道路の方は距離を短くするのに四苦八苦している感じがする。鉄道と道路の差(鉄道の方が勾配に弱い。自動車用長大トンネルは換気が問題になるなど)なのか、技術者の技巧の差なのかはわからないが。

白い線で描かれた国道は、国道8号が海沿いを走っている。
国道365号は日野川沿いに南下し、途中で孫谷の谷筋から山あいに入り込み栃ノ木峠を越えて滋賀県の余呉へ向かう。敦賀は通らない。
今庄と敦賀とを結ぶのは国道476号で、しばらくは鹿蒜川沿いの旧北陸本線跡を取り込んで、途中から別れて支流の谷筋に入り込んで木ノ芽峠を目指している。だが、木ノ芽峠を越えることが出来ずに線が途切れている。Aの尾根筋を貫くトンネルが建設中で、計画だと2002年(平成14年)中には完成する予定になっている。

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