徳島城の石垣

徳島城の石垣というと、緑色片岩を用いた「緑色の石垣」として知られている。偏平に割れ、城郭のような 大規模な石垣を築くのに必ずしも適しているとは言えない片岩を使った石垣は、花崗岩を自在に切り割って組み上げた城郭石垣とは また異なった趣を醸し出している。
緑色片岩を追い求めているこの旅の、格好の探索地となった。

徳島城は、標高61mの城山(本丸)を中心に、その麓の西と南に屋敷を設けている。特に南は政務の中心となる御殿が 設けられた。今回は大手門から入って、御殿跡を通り抜け、城山に登ってみようと思う。


徳島城堀端

まずは堀端から石垣を眺めてみる。
偏平な緑色片岩の乱積みで、角は算木積みで処理している。これだけ細かな石を積むのは苦心のいるところで、築造当時のものか どうかはわからないが、孕み(石垣の斜面から浮いて出ている)状態の石をいくつも見ることができる。

徳島城堀端
徳島城堀端
徳島城堀端

徳島城大手門

下乗橋(小見付橋)を渡って、大手門から城内に入っていこう。ここが徳島城の正面玄関にあたり 防衛のための枡形が仕掛けられている。
下乗橋は、その名のとおり乗り物(馬、駕籠)から下りて徒歩(かち)で渡ったことに由来し、これも元は防衛の観点から 木造だった。藩幕体制が終わって廃城になった明治2年に石橋になっているというのは、正直なものである。 現在のは明治41年に架け替えられたものらしい。
大手門左手が太鼓櫓で、徳島城の中でもここの基部だけが乱積みではなく、整層積みになっている。

大手門の枡形を作っている石垣も、緑が鮮やかだ。
手前にある柵のようなものは、徳島城址で行われているイベントのオブジェだそうだ。

徳島城大手門
徳島城大手門
徳島城大手門

徳島城太鼓櫓

由来はわからないが、徳島城の中でここだけが整層積みになっている。だがそれも、太鼓櫓の基部全体という わけではなく、大手門に面した一部分だけである。

太鼓櫓の上にはいろいろなモニュメントが据え付けられている。戦前ラジオの普及促進のために、NHK徳島放送局が 設置したラジオ塔(復元)や、駆逐艦のマスト(復元)などがある。これらはこれらで、公園となった徳島城址の歴史の証人として 貴重なものではある。

徳島城太鼓櫓
徳島城太鼓櫓
徳島城太鼓櫓

徳島城本丸

徳島城本丸
徳島城本丸

城山の緑色片岩

徳島城本丸となっている山自体が緑色片岩から成り立っている。 麓には、片離した岩片がころがっているのを観察できる。

徳島城城山の緑色片岩

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