大正国道1号滑川橋(一号國道)

大正国道1号は、「東京市ヨリ神宮ニ達スル路線」として定められている。神宮とは伊勢神宮のことである。現在の国道1号が東京・大阪の二大都市を結んでいるのと比べると、現代の感覚では奇異に映る。
経由地は次の通り。「横浜市 神奈川県足柄下郡箱根町 静岡県田方郡三島町 静岡市 浜松市 豊橋市 岡崎市(八丁橋経由) 名古屋市 四日市市 三重県三重郡日永村 津市(宇治山田市宮川町通経由)」



静岡県掛川市伊達方の旧東海道に架かる橋のたもとに「一号國道」という銘板がある。現在の国道1号も並行しているので、国道1号の「旧道」 という意識で、つい見落としてしまいがちである。だが、旧字体といい、「国道一号」ではなく「一号国道」という倒置の語順といい、時代はかなり さかのぼりそうである。
旧道は旧道でも、戦前までにさかのぼる大正国道の名残となるとその歴史的な価値は高い。存在を知って、居ても立ってもいられず 現地に出かけることにした。

「一号國道」という銘板が突然現われるので来歴に気づきにくいが、観察してみると、小さなコンクリート橋が架かっていて そのたもとの四隅に銘板が置かれている。そのひとつが「一号國道」というわけである。
別の銘板には「紀元二五九〇年十二月竣工」と記されていた。年代の分かる貴重な史料である。この場合は皇紀を意味していて、 皇紀2590年=昭和10年の竣工と分かる。果たして大正国道の名残であることがはっきりした。

他の2つの銘板には「滑川橋」と記してある。この橋の名前である。

一号国道滑川橋
一号国道滑川橋
一号国道滑川橋

一号国道滑川橋

滑川橋の東詰には、「東海道伊達方一里塚」碑がある。厳密にこの場所に塚があったわけではないようで、あくまでも 記念碑である。
旧東海道を散策する人には格好の目印となるので、この「一号國道」の銘にも目を向けて欲しい。

一号国道滑川橋

取材日:2008年1月13日


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