「大正国道」とは、大正9年施行の道路法(以下、旧道路法)によって定められた国道を仮にこう呼ぶことにする。昭和27年に現行の道路法が施行されて現在の国道の体系が整えられる以前の、日本の国道のことである。
「大正国道」は独特の体系を持っていた。旧道路法は第十条で、国道を「東京市より神宮、府県庁所在地、師団司令部所在地、鎮守府所在地又は枢要の開港に達する路線」として定義している。つまり、全ての国道は、東京の日本橋を起点として国内の他の地点へ至る路線として記された。トップナンバーである一号国道(国道一号)が結んでいた先は、神宮(伊勢神宮)であった。現在の国道1号が東京と大阪という二大都市を結び、大正国道以前に明治期に定められた明治国道の1号が東京と開港地である横浜を結んでいたことを考えると、経済的な合理性以外の観点で道路網が組み上げられていたことがうかがえる。
また、通常の国道以外に、第十条二項に「主として軍事の目的を有する路線」があり、これらには「特○号」という別のナンバーが割り振られた。軍事国道として呼び習わされることが多いが、必ずしも軍専用の道路であったわけではなく、「特号国道」とでも言うべき路線である。
こうした「大正国道」について収集した資料を公開しているのが、このページである。
【関連ページ】
道路元標の広場(大正道路法によって定められた道路元標の収集)
明治国道コレクション