大正国道5号線山形県南陽市鳥上坂鳥上坂国道改修銘板
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大正時代の国道5号線の探索。今回の旧国道へのアプローチはなかなか劇的だ。
この土手の穴をくぐる道が、旧国道である。
坂道は一定勾配の一直線で、探索で歩くには単調だが、車道としてはかなり「高規格」に整備されたことがうかがえる。
そのまま歩いていくには退屈なので、道端をいろいろ眺めていると、線路の土手の中ほどに打ち込まれている杭が目に入った。
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JR奥羽本線の土手に開いた「穴」。この向こう側に旧国道が続いている |
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一定勾配の一直線で登っていく坂道。峠越えの道としてはかなりの「高規格」である。
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法面に、石垣で囲まれた人為的に作った窪みがあった。水が湧き出ているようではあるが、土や枯れ草で
だいぶ埋まってしまっている。誰も見向きもしなくなって久しいようだ。
そして、目的の國道五号線の銘板が見えてきた。これが鳥上坂の旧国道探索の一番の見所である。大正国道の制度を今に
伝える貴重な史料である。
銘板は昭和10年に行われた道路改修を顕彰したもので、「國道五号線 鳥上坂 昭和十年七月竣工」と記されている。
鳥上坂の難所も4分の3ほど登った地点にあるこの銅板を眺めて、往時の旅人は一息ついたのだろうか。それとも、峠の頂上まで
あと少しと、足取りも重くなった牛馬に鞭打ったのだろうか。逆に赤湯の方向に下っていく大八車などは、一直線に転がり落ちていく坂道に
気を引き締めて挑んだに違いない。
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銘板附近から、赤湯側を振り返る。 |
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坂の上まで行くと平地が広がり、空が広くなった。ブドウ栽培のビニールハウスが両脇に並んでいる。 |
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水準点を見つけた。かつての主要街道沿いに設置された水準点がこうして鳥上坂沿いにあるというのも、国道としての来歴を
物語るようで嬉しい。
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取材日:2008年4月5日 |
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