大正国道特2号(箱根)

大正9年の旧道路法では国道路線の認定要件として、第十条二項に「主トシテ軍事ノ目的ヲ有スル路線」という定めがある。 この条項に該当する路線は「国道特○号」というように「特」が付き、一項の国道路線とは区別される。
特2号は「神奈川県足柄下郡温泉村ヨリ静岡県富士郡今泉村ニ達スル路線」として認定され、神奈川県足柄下郡箱根町から 静岡県富士市今泉まで、現在の国道138号、国道269号、静岡県道24号のルートに相当する。



特号国道はその定義から「軍事国道」という言い方もされるが、軍の印象が強いためか、なんだか秘密裏に設けられた国道、一般市民の 利用が制限された道路というイメージが先行するきらいがある。だが道路の主管はあくまでも内務省であり、内務省と軍部との道路認定をめぐる 役所間の駆け引きがあったり、道路行政の一分野としてとらえることが可能である。利用に関しても、有事の際はともかく、日常的には一般市民も 普通に通れたようである。

特号国道が一般に浸透していた証左として、「特二号国道開通記念」の絵葉書を紹介する。
絵葉書は2枚組で、一枚には「國道特二号線八千代橋」、もう一枚には「國道特二号線(誂子附近)道路」(誂子は地名で、「あつらこ」と読む) とある。初めてこの絵葉書を見たとき、軍事道路なら秘匿されてしかるべき国道特二号という路線名が記されていること自体、驚きであった。

大正国道特2号開通記念(八千代橋)
大正国道特2号開通記念(八千代橋)
大正国道特2号開通記念(誂子)
大正国道特2号開通記念(誂子)

取材日:2008年1月13日


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