ニューヨーク市を横切りノーザンプトンへ

6月10日(1日目)
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今日の目的地は、マサチューセッツ州のノーザンプトンNorthamptonである。同行者CHGの知り合いTさんが、ここでホームステイしながら英語の語学学校に通っているという。最初はそのTさんに会いに行くだけのつもりだったが、ホスト・マザーが快く受け入れてくれて2人位なら泊ってもいいと言ってくれているらしい。せっかくなのでご厚意に甘えることにした。ナビゲーションソフトによると、ニュージャージーのハイランド・パークの自宅からちょうど200マイル、3時間半もあれば着ける距離である。
8:30に家を出て近所のグロッサリーで水とお菓子を買い込む。都市部を走っていくので備蓄しておく必要はなく、遠足気分である。
ハイランド・パークの町を出たときには8:50になっていた。

今日のルートは、ニューヨーク市を横断して、I-95でコネチカット州のニューハヴンNew Havenまで行き、分岐するI-91を北上するという比較的簡単なものである。ノーザンプトンはI-91沿いにあるので、Exitを出ればそれで到着する。問題があるとすればニューヨーク市を横切らなければならないことで、渋滞と複雑な道路網をくぐり抜けていく必要がある。今回マンハッタンには用はないので、有料道路のNJターンパイク(I-95)に入った後はその終点のフォート・リーFort Leeまで行き、そのままジョージ・ワシントン橋"George Washington Bridge"を渡ってマンハッタン島の北をかすめるようにしてブロンクスに抜け、コネチカット州を目指せばいい。

まずはローカルの郡道514号をエジソンまで走り、Exit 10からNJターンパイクに乗る。ターンパイクを北へ向かう際や、I-287を経て外周(アウター)橋Outer Bridgeでスタテン島へ渡る際のお決まりの道である。
一度、NJターンパイクに入ってしまうと単調なエクスプレスウェイ、フリーウェイを延々と乗り継いでいくだけである。有料道路や橋を通るが結局はI-95とI-91の2本の道路を走るだけである。
その一番手のNJターンパイクは、片側6車線(3車線ごとに別れていて(おそらく後から増線したのであろう)、外側3車線はトラック、バスも走行可能、内側3車線は自家用車専用)になっている。この道にも慣れて、まだ庭先を走っているような感覚である。70マイル前後で流れている。
エリザベス周辺では沿線に石油化学プラントを多く見かける(写真)。ニュージャージー州の愛称が「Garden State(田園の州)」なのだが、実際には石油化学コンビナートがいくつもあり、工業がさかんな州である。先日見た映画"Beauty Pagent(邦題:「デンジャラス・ビューティ」)"でも、ニュージャージー州出身のミスコン候補に扮する女性のおとり捜査官(主人公)が「なぜニュー・ジャージー州は田園の州と言われるのですか?」というコンテストの際の想定問題に、「石油化学工場だらけで汚れきった州とは言えないからじゃないのぉ」などと、投げやりに答える場面があった。アメリカ人にもそう思われている州である。
ただ、おかげでガソリンの値段は全米でも一番安く、それもニュージャージー州ではセルフサービスは認められていない、つまり給油する人の人件費が余計にかかっているはずなのに、なおこの安さである。
日本に例えると、ニュージャージーは四日市か市川みたいな所である。さしずめ、NJターンパイクは国道23号とか国道14号に相当するだろう。いずれも大都市周辺の工業地帯を貫く道路である。

東京とか名古屋というとすぐ認知してもらえるけれども、市川とか四日市だといちいち「東京から○○分」「名古屋から近鉄に乗り換えて。関西線もあるけれども」と言わなければならないところも、ニューヨークとニュージャージーとの関係に似ている。

ニューアークの空港をかすめ、しばらく行くとNJターンパイクは東線と西線に分かれるが、今回は終点まで乗り通すのでどちらにいても良い。結局東線を走ってた。湿地帯を抜けると、スポーツ・コンプレックスが見えた。
約40マイル走って、通行料金は$2.95であった。


NJターンパイクの通行券

マンハッタン島はハドソン川によってニュージャージー側と隔てられているのが、一番北で川を跨いでいるのが、ジョージ・ワシントン橋である。2層構造になっていて、上層の方が多少時間がかかるような表示が出ていたが、景色がきれいだろうと考えてあえて上層を選択する。渋滞は料金ゲート付近だけで橋自体はすいすい流れている。
それにしても視界が開けている。それもそのはず、橋の幅員は63.3mもあり、明石海峡大橋の30mの2倍以上の広さである。 上部デッキだけで片側4車線計8車線、下部は片側3車線計6車線の、総計14車線を数える。世界で一番車線数の多い橋である。 とにかくそのスケールの大きさには圧倒される。橋からちらりと見える景色は、ワシントン・ハイツあたりだろうか。
ジョージ・ワシントン橋の通行料は$6だった。この通行料金はニューヨーク市に入る際にだけ徴収されるもので、往復だと片道当たり$3の計算になるが、今回はもう戻ってくることがないのでまるまる$6の橋である。日本なら首都高速1回分の値段でつい払ってしまうが、アメリカの感覚で言うとべらぼうに高い。ニュージャージーの住民は虐げられていると思う。
以前東京の多摩地区に住んでいたときと同じような感想を抱く。
今回のジョージ・ワシントン橋の利用は個人的にちょっと嬉しいことがあって、これで、マンハッタン島とニュージャージー側を結ぶトンネル・橋は道路、鉄道ともにすべて利用したことになる。スタッテン島も含めると、ニューヨーク市とニュージャージーとを結ぶ陸上交通はすべて利用した。ちょっとした達成感がある。

マンハッタンに入ったはずだが、半地下の構造になっていて、まわりはよく見えない。このあたりからが初めてのドライブになるので分岐路などもよくわからない。交通量も多く、流れているときの首都高のような感じである。もっとも幅が広く圧迫感はないが。コネチカットやニューヘヴン、ニューイングランド・スルーウェイなどの案内を頼りに、車を走らせる。ParkwayやExpresswayとの分岐が次々に出てくるが、いずれも地図が頭に入っていない。ただ本線に沿ってまっすぐに車を走らせる。フリーウェイなので間違えてもまた乗り直せばいいのだが、流れているものは、方向を間違っていない限り、流れに乗っている方が余計な面倒がない。思考停止のまま、やがて、ニューイングランド・スルーウェイの料金ゲートにたどり着き、I-95を素直に走っていたことがわかった。
ニューイングランド・スルーウェイは全線走って$1。とはいえフリーウェイの続きであるから、どこからどこまで有料で、どこからどこまでが無料かわからない。関所のようなものである。ただ料金を取っている立場上、休憩や飲食、給油のための設備を提供するレスト・エリアが設けられている。ニューイングランド・スルーウェイの場合は、レスト・エリアの店がことごとくマクドナルドで、立ち寄る気もなく通過した。並行して走っているアムトラックの北東回廊線(ニューヨークからニューハヴンを経て、ボストンへ至る)が見えた。

(レストエリアは無料のフリーウェイにもあるが、多くは州の観光案内所であったり、駐車スペースとトイレだけだったりする。フリーウェイで給油や飲食したい場合は、インターチェンジ手前に出てくる「GAS」「FOOD」というサインを見て、好みの店を見つけるとそこのインターチェンジで下りればそれで済む話である。もとからタダなのだから)

ニューイングランド・スルーウェイからいつのまにか普通のI-95フリーウェイになり、快適に走る。途中でちらちらと海辺の景色、ヨット・ハーバーとか、河口とかが見えて、海沿いを走っていることがわかる。途切れることなく都市景観が続いていて、メガロポリス地帯であることを実感する。やがてひときわ大きな街に入ったことが実感されるようになった。ニューへヴンである。エール大学のある場所という位の知識しかないが、古くから栄えた港町で、「ニューイングランド」を感じさせるような古い町並みも残っているそうである。今回は通過するだけで、I-91に乗って進路を北に向ける。
この先、ハートフォード、スプリングフィールドという大きな街を通過することになっているが、ニューヨークから続いてきた都市景観は途切れ、森林丘陵地帯の中を走るようになる。速度は70から75マイルぐらいで流れていた。

調子に乗って3時間ばかりノンストップで走ってきたが、2日前に着いたばかりの同行者CHGにはいきなりのハードなドライブになってしまって、途中からしばらく寝ていたものの、気分が悪いらしい。そろそろお昼時にもなり空腹なのもいけないのかもしれない。反省。スプリングフィールドを過ぎたあたりで一度フリーウェイを下りたが落ち着ける場所が見あたらなかったので、もう少し我慢してもらって、ノーザンプトンへ向かうことにする。

12:30には、当初の計算どおりノーザンプトンに着いた。
Exit 18で下りて、知り合いのホームステイ先に向かうが、どうも町から遠ざかる方向になるようだ。訪問先がインターチェンジから5分もかからない場所だと言うことを確認して、逆方向に引き返し、とりあえずダウンタウンに向かう。昼食を取ってしばらくゆっくりしたい。ノーザンプトンはスミス・カレッジを中心としたこぢんまりとした町で、店を探し出す間もなく、ダウンタウンを通りすぎてしまった。「郊外」に出てチェーンのファミリーレストランや、スーパーマーケットが目に付くようになってきたところで、タコ・ベルを見つけて昼食にする。疲れを見せていた同行者CHGも、食欲はあるようで良かった。助手席にじっと座っているのもかなりの苦痛だったろう。
タコベルの飲み物の容器は大きい。コップだけをわたされてセルフサービスで好きなソーダを入れてくるのだが、まるで「バケツでソーダ」状態である。

知り合いのホームステイ先に電話を掛けて、2時に伺う約束をする。小一時間、時間が余ったので近くにあるスーパーマーケットを覗いて時間を潰すことにする。スーパーマーケットはSTOP and SHOPというチェーン店で、自宅近くにもある。メンバーズ・カードも持っているくらい日常的に利用している店なのだが、日本から来た同行者CHGにはやはり珍しい。それに、会社の同僚から妙なお土産を頼まれているので、そういうのを早めに片づけておきたいというのもある。その妙なお土産というのが、ジレットの女性用剃刀でパッケージが花柄のやつなんだとか‥‥。いざご所望の品を見つけてみると、本当にパッケージが花柄であった。日本の女の子というのは、こういう情報をどこで手に入れるのだろうか?不思議だ。

ダウンタウンを抜けて、インターステイツのExitへの道を戻り、「この先橋通行止め、通り抜けできない」という看板を無視してさらに町から遠ざかるようにして進み、林の中にある最初の角を曲がると、知り合いがホームステイしている家に着いた。ホストマザーのCさん(独系アメリカ人)、知り合いのTさん(日本人)、英語学校に同じく留学しているJさん(日本人)、そして車の掃除をしていて「なんでいきなり掃除をしてるんだろ?住み込み奉公人か?」と思ってしまった(失礼)Hさん(同じくクラスメイトの日本人)と会う。
Town of Northampton午後は、主にHさんの案内で、ノーザンプトンの町(写真左)や、有名なスミス・カレッジ、近くのアマーストの町を見物する。スミス・カレッジは名門の女子大学がその庭に蔦で作ったお城がこしらえてあった。恒久的なものではなく何かのデコレーションである。へんちくりんな造形だが、それがいついつ出来てということを全部知っていたHさん、あなたは一体何者?女子大のまわりをいつもチェックしていたとか?‥‥
晩ご飯はCさん手作りのラザニアをご馳走になった。Cさんの家はコネチカット川の支流が作った三日月湖に囲まれた島のような土地(Ω字状に湖があって、その内側に当たる)にあり、夕食後の散歩がてら少し歩いて見に行った湖畔に沈む夕日がきれいだった。

「橋通行止め」というのは三日月湖の反対側にかかる橋が落ちてしまって、でも財政難から放って置かれているとのこと。ダウンタウンとは反対方向なので、特に支障もないらしい



データ
08:50 NJ州ハイランド・パーク発
09:22 NJ Turnpike Exit 18W:Fort Lee (10->18W $2.95)
--:-- George Washington Bridge ($6.00)
09:52 New England Thruway, Plaza New Rochelle ($1.00)
12:30 マサチューセッツ州ノーザンプトン着
走行距離175マイル

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By CHG and TTS