今日は移動日

6月14日(5日目最終日)
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今日はニュージャージーに帰る日だ。特に寄りたい場所もなく、フェリーで対岸のニューヨーク州に渡ってしまえばあとはI-87に入って延々と南に向かって走るだけである。一番単調な日である。計画も大雑把で、朝出て夕方に着ければいいかなという感じにしか考えていない。今日中にニュージャージーに着ければいいので、むしろ長距離ドライブに備えて宿でできるだけゆっくりすることにした。
朝食が用意されているので8時すぎにレストランに顔を出す。ちらほらと泊まり客がいて、後からも何組か入ってきた。窓際のテーブルを確保して、セルフサービスのベーグルや果物を取りに行く。温かみを残していて、おいしい。
"Would you like coffee?"
コーヒーポットを持ったおばさんがテーブルに回ってきた。お決まりの朝食の光景である。
窓の外には、芝生が植えられたヤードが少しあり、その向こうに湖が朝日を反射して輝いている。シャンプレーン湖は細長く幅はそれほど広くないので、対岸に茂っている針葉樹の緑も視界に収まる。昨晩"shore"の文字を見て選んだときの、期待通りの景色が広がっている。何も考えることなく、素直に佳いと感じる。芝生では宿の主人が水を蒔くシャワー機の向きをときどき変えて、全体に行き渡るようにしている。高いポールの上に鳥の巣箱が置かれていて鳥が出たりは言ったりしている。シャワー機の飛ばす水の放物線をくぐるようして飛んでは、遊んでいる。

湖の中に桟橋が延びていて降りられるようになっている。桟橋から見上げると、宿は湖面から3m程切り立った崖の上に建っている。なるほど、島全体が、平たいテーブルの上に乗っているようなものだ。頁岩と言うのだろうか、薄っぺらく平らに剥離した石片が岩盤の上に転がっていた。

チェックアウトと会計を済ませる。この時ちょっと不愉快な気分にさせられた。部屋の備品についてだが、盗難があるのか神経質になっているようだった。


9:30には宿を出て、昨日薄暗がりの中を走った道(US-2)をサウス・ヘロの方に戻る。今日の第1行程は、サウス・ヘロからフェリーに乗って対岸のニューヨーク州プラッツブルグまで渡ることである。
フェリー乗り場に着くと、ちょうど前の便(9:40?)が出ていったところで、次は10:00の便になる。運賃は乗用車(運転手1人)と同乗者大人1人で、$だった。指示に従い停止線のところで停止して乗船を待つ。タイミングが良かったのか1番先頭の位置である。10分も待たないうちに対岸からフェリーが到着して、車が吐き出されてくる。乗用車はあまり多くなく、トレーラーやトラックが目に付いた。乗船待ちをしている車もいつの間にか増えていて、私の車の後ろには乗用車が数台列をなし、隣には、大きなトラックが並んだ。
甲板の係員からの手招きで乗船を開始する。レーンに沿って車を進め、車列の先頭なので船の舳先まで進んだところで停車する。船の構造はいたってシンプルで屋根もなく、例えるならば空母のように、一枚板の甲板があってそこから船を操る艦橋(空母だと管制塔になるが)が突き出ているだけである。横から見ると凸の字の形をしている。
それでもいちおう客室が設けられていたのでのぞいてみる。客は皆、車の中にそのまま居るか、車から出ても甲板で風を受けていて(その方が気持ち良い)、客室に入っている人は誰もいない。そんなもの寂しい客室だったがひとつ発見があった。このフェリーは、ヴァモント州のグランド島とニューヨーク州のプラッツブルグとをむすぶ、州をまたぐ航路である。アメリカで州が違うと法律から人々の習慣に至るまですべてが変わると言っても過言ではないが、ここでは電話料金が違っていた。ローカル通話は、ヴァモント州が$0.35でニューヨーク州が$0.25と、$0.10の違いがある。このフェリーは両州にまたがっているから、それぞれに電話する際に料金が違ってくるのだ。
前にも書いたがシャンプレーン湖は南北に細長い湖で、東西にはそんなに広がりはない。対岸が見えている位である。甲板でぼうっとしている暇もなく、フェリーは約20分で渡りきってしまう。

今日の第1行程にして、最大のイベントの、シャンプレーン湖横断は終わってしまった。旅行ももう終わりだ。あとはフリーウェイをひたすら走らなければならない。
I-87はアディロンダック州立公園を抜けて走る。森林の中に湖が点在している。氷河地形のU字谷も通り抜ける。だが、昨日フランコニア・ノッチを満喫しているので、見劣りがする。まっすぐな道路が続いている。起伏があるので高いところに来ると前が見通せるが、同じ方向はもちろん、対向車も見あたらない。
州都のオーバニーが近づくとさすがに車が増えてきた。ファミリーレストランのFriday'sの看板がハイウェイに出ていたので、町の手前で昼食のために一度退出した。昼から肉にしゃぶりつく。たまってた疲れが、食後のけだるさと一緒になって出てくる。
I-87はオーバニーからは有料道路のニューヨーク・スルーウェイになって、ニュージャージーとの境まで続いている。途中サービス・エリアまでガスが持つか心配になり一旦降りて、また有料道路に入り直した。$.045損した。見つけて給油したところはニューヨークの田舎のガス・スタンドで、クレジットカードは使えず、ストアのレジで申告する方式だった。有料道路をひた走るうちに眠気を催し、ピクニック・エリアで木陰を見つけて仮眠を取った。
ニューヨークが近づくにつれて車の量がこれまでにないくらいに増えた。前後左右を車に挟まれて走る。ほんの4日前まではこういうところを当たり前だと思って走っていた。
ニューヨーク・スルーウェイを出たのが17:02。I-87の別線で大ニューヨーク地域の環状線にあたるI-287に入れば、家まではあと一息だ。帰宅ラッシュが始まっている。他の大勢と共にハイウェイというパイプを押し流されている気がする。19:00には家に着いていた。早く着けそうだから、ハイウェイ沿いの映画館に映画でも見に行こうか、コリアンのおいしいレストランを知っている。車のなかでそう話していたが、疲れですぐに寝てしまったのだろう。その日の夕食に何を食べたか覚えていない。



データ
09:50 Ferry Port@Grand Is.
14:57 Plaza 22 ($0.45: 24->22)
給油のためいったん有料道路を出る。
17:02 Plaza 15 ($3.25: 22->15)
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