ニューヨーク大都市圏のパークウェイ


Hagstrom Map Company Inc., Maspeth, NY

ニューヨーク市のブロンクスから北部郊外のウエストチェスター郡にかけての地図を見ると、南北に走る「高速道路」(赤線)にあわせて緑色で描かれた緑地帯が細く延びているのを見ることができる。
一見して都市部に残された貴重な緑を狙い撃ちして道路を通したと思われる向きもあるかもしれないが、こうした道路はパークウェイ Parkwayと呼ばれ文字通り道路と緑地帯や公園を一体化して配したもので、統合的な道路・公園設計の結果なのである。路盤は起伏や曲線を自然の地形に合わせて取り入れ、むしろ修景に多くの費用をかけた。緑と水辺が組合わさり、車窓には、いわゆる「田園風景」の中を走っているような景観が広がる。
パークウェイの最初の例とされるブロンクス・リバー・パークウェイは、もともとはブロンクス川沿いの環境保護を目的としたもので、帯状にできた川沿いの公園や緑地帯の中をレクリエーション用として自動車道路を通したものだった。その他のパークウェイも、○○リバー・パークウェイと名付けられていることからわかるように、同じ発想・手法で建設されたものである。もともと、ウエストチェスター郡はニューヨークの上中流階層の住宅地となっていたので、こうした「美しい」道路は地域住民にも好評であった。また、単にレクリエーション用だけではなくて、都心への通勤路線としての役割も大きくなった。
パークウェイは自家用車専用の道路として設計され、トラックを締め出しているのも大きな特徴である。

今日、パークウェイの道路の通し方や修景の考えは広く一般のフリーウェイにも取り入れられているが、このページで取り上げるパークウェイは、初期の頃の、公園の一部としての「美しい」道路が中心となる。田園風景を模してレクリエーションとしてのドライブというコンセプトを持ちながらも、都市高速や通勤路線としての顔も見せるニューヨーク大都市圏のパークウェイを紹介してみよう。


[パークウェイと社会コントロールについての考察]

ヘンリー・ハドソン・パークウェイ

Henry Hudson Parkway

ヘンリー・ハドソン・パークウェイはマンハッタンの西側、ハドソン川のリバーサイドを南北に走る。パークウェイに沿ってRiverside Parkが細長く伸びている。 パークウェイなので、マンハッタンにある貴重な「都市高速」でありながらトラックの通行が禁止されている。
高架部分は57丁目から始まるが、厳密に言えばパークウェイは72丁目以北(Riverside Parkも律儀に72丁目から始まっている)で、57丁目から72丁目の高架区間はウエストサイド・ハイウェイになる。かつて、ウエストサイド・ハイウェイは57丁目からマンハッタン島の西岸をさらに南下してバッテリー・パークでブルックリン・バッテリー・トンネルや東側のF.D.R.ドライブと接続していたが、ニューヨーク市が財政危機に陥り道路補修が満足に出来なかった1973年に高架道路が崩壊事故を起こしてしまい、57丁目以南の区間は普通の地平の街路に戻されてしまった。57丁目から72丁目の高架区間はウエストサイド・ハイウェイの残存区間なのである。

写真上:ハドソン川沿いを走る。遠くにジョージ・ワシントン橋が見えている。マンハッタンのミッドタウンからジョージ・ワシントン橋への連絡に便利な道路だが、ヘンリー・ハドソン・パークウェイ自体はさらに北上してウエストチェスター郡との境付近でソウ・ミル・リバー・パークウェイと合流して北部郊外へのアクセス路となっている。

写真下:ハーレム付近の車窓風景。


ブロンクス・リバー・パークウェイ

Bronx River Parkway

ブロンクス・リバー・パークウェイは、文字通りブロンクス川に沿ってニューヨーク市ブロンクス区から郊外のホワイト・プレインズまで走っているパークウェイである。1923年に建設され、アメリカでも最初のパークウェイとされている。

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ソウ・ミル・リバー・パークウェイ

Saw Mill River Parkway

ニューヨーク市ブロンクスとウエストチェスター郡との境界付近から、ウエストチェスター郡を南北に縦断し、ベッドフォード・ヒルズでI-684と合流している。I-287以北へアプローチするのに書かせない路線である。ニューヨーク市ではヘンリー・ハドソン・パークウェイにつながり、そのままミッドタウンまで直行できる通勤路線である。
なだらかな起伏が続く。


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