Old Central Rail Road of New Jersey Terminal

セントラル・レイルロード・オブ・NJの旧ターミナル

Old CRRNJ Terminal

かつて、ニューヨーク市・マンハッタンの対岸、ニュージャージー州のハドソン川沿いの一帯には鉄道のターミナルがいくつもあった。人々はここから内陸へ旅立ち、内陸からは石炭や鉄鋼製品や農作物が大消費地のニューヨークへ運ばれ、ハドソン川に面したターミナルで船に積み替えられてさらに遠くへ出荷された。巨大な消費地に接し、物流の便の良さから、地域の工業も発達した。20世紀始め、これら鉄道のターミナルは殷賑を極めた。
やがて鉄道輸送が衰退し、ニューヨーク市周辺に集積していた工場も生産の海外移転で次々に閉鎖され、広大な鉄道ヤードやターミナルも無用のものになってしまった。
かつての主要な鉄道ターミナルのひとつ、セントラル・レイルロード・オブ・ニュージャージーのターミナルも廃止され、その広大な跡地は州立公園として生まれ変わった。公園の中に今でも往時の駅舎が保存されているというので、見に行くことにした。

写真は州立公園の入り口。広々とした空き地がかつてのヤード跡である。危険物質が埋まっているとかで、一部は閉鎖されている。
遠景にニューヨーク市・マンハッタンの摩天楼が見える。位置的にはマンハッタンの先っぽと対峙する格好になり、ハドソン川というよりはニューヨーク湾に面していると言った方が正しい。自由の女神のあるリバティ島の裏手にあたり、公園の名前のLiberty State Parkも自由の女神 "Statue of Liberty"にちなんでいる。ちなみに、自由の女神というとニューヨークのシンボルになっているが、ニューヨーク州とニュージャージー州の州境はハドソン川の真ん中を通っていてそれを延長すると、自由の女神の立っているリバティ島は州境のニュージャージー側に位置している。当然の事ながら、リバティ島はニュージャージー州の土地であり、自由の女神はニュージャージーにあることになる。だがあまりにもニューヨークが有名なので、ニュージャージー州としては自由の女神と一体化する形で州立公園を作って涙ぐましいまでの自己主張をしている。

尖塔を持つ煉瓦建ての建物に、鉄とガラスでできたドームが併設されている。
写真の左側がニューヨーク湾で、海に正面を向けている。
通常であれば一般に公開されているのだが、現在は9月11日のテロリスト・アタックの被害者遺族家族の支援センターとして用いられていて内部を見ることはできない。建物の回りにフェンスがめぐらしてあって、州警察が警備しているというものものしさである(対応してくれた警官や職員の人は親切だったけど)。

駅舎の正面には大時計がはめ込まれていて、きちんと保存整備がなされて今でも動いている。時計の上には会社名の"CRRofNJ"が刻まれている。

時計の四隅には"SCIENCE", "COMMERCE", "INDUSTRY", "AGRICULTURE"(科学、商業、工業、農業)と刻まれていて、モダニズムの時代、科学技術と産業の発展を謳歌していた時代の雰囲気が伝わってくる。(詳しくはこちらの写真を参照

マンハッタンとは水面を挟んですぐのところにある。
またヨーロッパからの移民が入国検査を受けたエリス島(右の写真)からも近く、エリス島からニュージャージー側に上陸して、この鉄道ターミナルから内陸へと向かった移民も多かった。約800万人の移民がCRRNJを利用したと言われている。
エリス島にはかつての移民局の建物が残り移民博物館として一般に公開されている。マンハッタンのバッテリー・パークから出ている自由の女神行きの観光フェリーで行くことが出来る。また、リバティ州立公園からもフェリーが出ていて、マンハッタン発と同じように、自由の女神とエリス島を周遊できる。

シェイドの庇には1913年の銘が入っていた。


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