ホーボーケン・ターミナル

ホーボーケンは、イタリア移民の町、フランク・シナトラの出身地、野球の発祥地といろいろな形容があるが、鉄道の町でもある。

ホーボーケンはニュージャージー州の地域鉄道の主要なターミナルである。地理的に見ると、ハドソン川をはさんでマンハッタンの対岸に位置するホーボーケンは、もともと川を越えられなかった鉄道の終点であり、フェリーに乗り換える必要があったから、一大ターミナルとしての役割はますます高まった。
今日でも、ニュージャージー州内の地域鉄道であるニュージャージトランジット(NJT)のPascack Valley Line, Bergen Line, Main Line, Boonton Line, Morristown Line(Montclair Branch と Gladstone Branchを含む)の各線と、PATH地下鉄が乗り入れている。ハドソン川を渡るフェリーの発着場も隣接している。朝夕のラッシュ時を中心に多くの人々が利用し、長距離列車こそないが、ターミナルとしてまだまだ現役である。
ファサードに掲げられたFERRIES TO NEW YORK の文字を見ながら、数知れない人々が希望と不安を胸に欲望と混沌の大都会に向かったことだろう。そんな感傷的な気分がただよっているターミナルである。

左翼に三角屋根が連なっているのが、フェリーの発着場である。正面に待合室があり、右翼に鉄道用のプラットフォームが広がる。また、ホーボーケン地域のバスのターミナルにもなっている。まさに交通のハブである。


現在のホーボーケン・ターミナルの建物は、ラカワンナ鉄道 Lackawanna Railroad(正式名称はDelaware, Lackawanna & Western Railroad)のターミナルとして1907年に建てられた。正面の建物のファサードには、年と鉄道会社の、1907, LACKAWANNA R.R. (R.R.はRailRoadの略)の文字が残る。
ラカワンナ鉄道は、ペンシルヴァニア州のスクラントンで産出する無煙炭(炭素の純度が高いため火力が強く、不純物も少ないので煙もでない良質の石炭)とその石炭を利用して作られた鉄道のレール(Tレール)を搬出するために作られ、ニューヨークに隣接し大西洋の港であるホーボーケンから、五大湖のほとりのバッファロー(ニューヨーク州)まで路線を広げた。
19世紀の後半から20世紀のはじめにかけて会社が大きく発展し、各地に豪華荘厳な駅舎を建設した。ホーボーケンのターミナルもそのひとつで、歴史的建築物として保存されている。

フェリー乗り場(現在は使われていない)とプラットフォームの間に広場があり、石畳が敷かれていて趣が出ている。この広場は毎年秋に開かれるニュージャージー鉄道フェスティバルなどのイベント会場として利用されている。

コンコース
プラットフォームは終着駅らしく、ドーム状に覆い屋根(シェイド shade)で覆われている。

ホーボーケンの鉄道・フェリーターミナル。接岸設備の5連のアーチが往時の繁栄を物語る。今ではこの設備は使われておらず、隣の仮設のような船着場に発着する。
大きく掲げてあるErie Lackawannaとは、1960年10月にErieとLackawannaが合併してできたErie Lackawanna鉄道会社のこと。ホーボーケンをターミナルとして旅客列車も運行していた。Erie Lackawanna 鉄道会社は1976年4月には他の鉄道会社と合併しConrailとなり、今は存在しない。
(写真は、ホーボーケンの船着場に到着しつつあるフェリーの船上から撮影)

Hoboken Terminal

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