ビッグボーイ Union Pacific Big Boy 40124-8-8-4配列(先輪が2軸、動輪が4軸2組、従輪が2軸)の車輪を持ち、世界最大と言われている蒸気機関車。西部のロッキーやシェラネバダといった山脈越えのために開発され、とにかく馬力を出すために前後2組のシリンダーを持ちそれぞれ4軸の動輪を駆動させる。動輪が4軸の機関車を2両くっつけたようなもので、連接型Articulatedと呼ばれる。ニックネームは「でかいやつ=ビッグボーイ Big Boy」。アメリカの蒸気機関車の形式名は通常その蒸気機関車が主に使われている地域にちなんで名付けられるが、こいつの場合は、その並はずれた大きさがそのまま名前になっている。 前面の鎧戸が印象的だ。 前後に長いために奥行き(遠近感)が出ていて、正面から眺めると迫ってくるような感じがする。さすがビッグボーイだ。 西部の鉄道会社ユニオン・パシフィック Union Pacificの求めに応じて、アルコ Alco(the American Locomotive Company)が総計25両を製造した。1次車が1941年に、2次車が1944年にそれぞれ製造された。 もともと西部の会社の蒸気機関車のため、現在保存されているものの多くが西部諸州に散らばっていて、東部では、ここ、ペンシルヴァニア州スクラントンのスチームタウン国定史跡に保存されている4012号機を見ることができるのみである。スクラントンの機関庫は本来ビッグボーイとは無関係なのにもかかわらずちゃっかりスチームタウンの展示の目玉になっているのは、なんともご都合主義だが、近場で見ることのできる貴重な1両なので、今回のスクラントン行きの目的のひとつに数えていた。見る方もかなりご都合主義である(^^ゞ シールド(盾)型の社章に、UNION PACIFIC 4012の文字が誇らしい(写真右)。 ビッグボーイの大きさを実感できるのが、横から眺めた時である。動輪が4軸の蒸気機関車を2両つなげたものに匹敵にするだけあって、その長さには圧倒される。全長40.7m、総重量508tの巨体である。 アメリカでは2-10-0配列(動輪が5軸)の蒸気機関車を「十本脚のオバケ(十本脚の節足動物) Decapod」と呼ぶらしいが、ビッグボーイをじいっと見ていると、なるほど、脚が16本(8軸)の細長い生物が横たわっているようにも見えてくる。蒸気機関車進化論の最終進化形だ。 シリンダーにつながった4軸の動輪が、前後に並ぶ。 ピストンや、動力を伝えるロッドや、蒸気を運ぶパイプが複雑に絡み合っている。こういうごちゃごちゃとしたメカニズム(機構)は見ていて飽きることがない。
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